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2020.12.01

<映画:THE CROWN:シーズン4> #ピーター・モーガン制作総指揮 #オリヴィア・コールマン主演 #英国王室の女一代記大河 #チャーチル首相とジョージ6世

タイトルが入ります

こんばんは。

No Cinema, No Life.

火曜日担当のツノムラです。

 

師走で何かと忙しく、寒さが増して、体調管理には一段と気を使う日々ですね。

みなさま、いかがかお過ごしですか?

第三の波に備えて免疫力アップが必要なのですが、何が体に良いのか気に掛かります。

 

とりあえず、残業は程々に帰宅して、たっぷりの栄養と睡眠。

時々、休息がてらに自宅で連続ドラマなんて良いと思います。

 

ネットフリックスは悪くないと思います。

 

 

 

 ネットフリックスのドラマ制作は、年間予算が約1兆9千億円だそうで、映画産業を凌駕するほどに制作費が潤沢です。

 

 さらに、個人からの有料会費で経営収支しているので、コンテンツ内容について広告主にも忖度する必要がない。切れ味が鋭いオリジナルのシナリオが豊富です。

 

 プロデューサーは、俳優や脚本・監督、制作・マーケティングスタッフの確かな才能にはギャランティーを惜しまないことだけあって、中身が濃い。

 

 ドラマのメッセージ性は今の混沌とした時代とぴったりと符合していて、面白くて病みつきになります。

 

 

 

 ですから、連続ドラマも、ついつい第1話から第13話まで一気に見てしまう。

 

 例えば、女子刑務所を舞台にした「Orange Is the New Black」なんて、全部で7シーズンの全91話×51分=4,641分(77時間)を一気見したら、気絶します。

 

 結実しないスレ違い系の韓国恋愛ドラマ「愛の不時着」なんて、魔法の粉系駄の菓子「ハッピーターン」と同じく中毒性が強く、全16話の途中でやめられないので、寝不足になりました。

 

 ですから、僕はエンタメ性が少ない、ハラハラ・ドキドキしない渋いドラマを見るようにしています。

 風邪をひきやすい、この時期は特に、ドラマ中毒と寝不足は大敵です。

 

 渋くて硬いドラマ、例えば政治・歴史物をチビチビ見るのも悪くありません。

お酒に例えるとビールみたいに一気飲みではなく、ウィスキーみたいにワンフィンガーをゆっくりと飲むみたいなドラマ。

 

 政治物ドラマはストーリーが小難しくて、エンディングを待たずして途中で寝落ちしてしまいます。それも、構わないと思います。

 歴史物は、登場人物が実在していて、教科書で結末を習ったので、何ならば最後まで見なくても大丈夫です。それも、Goodです。

 

 兎に角、僕は酒場の世間話で賢く見られたい。世界史ついて、パーティーで知ったか振りをしたい。そしてモテたい。

 

 ですから、僕は、少しは賢くなった気になれる「史実に沿った政治ドラマ」を好んで見ています。

 

 本日は、ヨーロッパ通を語るには、もってこいの、英国の近現代政治史を描いた『The Crown:シーズン4』をご案内します。

 

 主人公は、世界で最も有名な君主であるエリザベス2世(Elizabeth Alexandra Mary Windsor)。

 

 

 

 イギリス経済が衰退し始める1950年以降の英国政治史において、女王エリザベス2世がその治世にどのように関わってきたか。

 本作は、王室の内側からリアルすぎるほどに鋭く、赤裸々に描かれています。

 

 エリザベス2世は1952年に25歳の若さで英国女王に即位し、今年で在位68年になるのですが、生誕された1926年には王位継承を予測されていませんでした。

 

 当時のイギリス国王であるジョージ5世(祖父)の継承者は長兄のエドワード8世(叔父)であり、その直系の男子が未来の国王のはずでした。

 

 しかし、エドワード8世は1936年の即位から1年足らずで退位し(立憲君主制の重大違反による国外亡命:詳細はウィキペディア参照)、弟のジョージ6世が新しい英国王に即位します。

 

 

 

 

 そのジョージ6世には男の子がいなかったので、長女であるエリザベス二世が、突然の王位継承者となった。さらに、父君のジョージ6世は56歳の若さで突然に御崩御される。

 

 つまり、王位の教育を受けないままに幼少期を育ち、その後も国王を補佐するプリンセスとしての経験を得る時間余裕もないままに、若干25歳にしてイギリス連邦の7カ国の君主に即位する。

 

 本作は、若きプリンセスが現在の威厳ある英国女王へと駆け上がる時代を約60年に渡って丁寧に描いた大河ドラマです。

 

 2020年11月からシーズン4が始まっています。

 

 シーズン1の冒頭を少しだけ、ご案内します。

 

 

 

 

 舞台は1953年6月2日のロンドン、ウェストミンスター寺院。

 

 王位継承への自信無さげが見え隠れするエリザベス2世の「戴冠式」から始まる。

 

 各国の元首が「戴冠式(The Coronation of Elizabeth II)」に参列し、世界初の白黒テレビ中継により初々しい女王陛下のお姿が映し出される。

 

 

 しかし、ロイヤルファミリーは、緊張する面持ちのエリザベス2世に対して冷ややかだ。

 

 ◆責任放棄で退位した前国王のエドワード8世(叔父)は、エリザベス2世を上から目線で意地悪げに眺める。

 ◆エディンバラ公爵フィリップ(夫)は、妻でもある新しい英国君主の重みと責任を軽く受け止めている。

 ◆国王亡き後に王室のまとめ役であるはずの、年長のマウントバッテン卿は何を考えているか分からない。スキあらば、政治的なクーデターを企んでいる。

 ◆マーガレット王女(妹)は、自由奔放で王室スキャンダルの火種である。姉である女王への嫉妬心が見え隠れする。

 

 王室で孤立し、四面楚歌の若きエリザベス2世を支えるのは時の宰相「ウィンストン・チャーチル」一人だけである。

 

 

 

 

 チャーチル首相は、第一次政権(1940年5月~1945年7月)で先代国王のジョージ6世に仕えた。

 

 二人は立憲君主制における象徴的な助言者(国王)と主権者の代表(首相)としての関係よりもさらに深く、親友同士の絆で結ばれていた。

 

 

 

 

 戦時下において、ロンドン市街地の制空権はドイツ空軍に制圧され、ダンケルクの戦いではイギリス陸軍3万人を失い海軍は丸腰で撤退した。

 

 失敗続きのチャーチル首相は背水の陣に追い込まれる。彼を支えるために、ジョージ6世は戦火の中で世界中を飛び回り、王室外交を展開し、イギリス連邦やアメリカからの同盟強化、軍事支援の下準備を築いた。

 

 さらに、ジョージ6世とチャーチル首相はともに演説の場で、国民に対し力強く挙国一致を呼びかけた。

 

 『We shall never surrender』の演説は、僕も英語の授業で習いました。

 

 この胸熱の演説シーンは、映画「英国王のスピーチ(2010年、トム・フーバー監督)」、「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男(2017年、ジョー・ライト監督)」で詳しく描かれています。

 

 

 

 

 

 名作ですので、ぜひご覧ください。

 

 さて、話を本作に戻します。

 

 第二次大戦後終盤の1945年7月に保守党は労働党に惨敗し、保守党の党首であるチャーチルは責任をとり、政界から退く。

 

 そして、1951年10月に第二次チャーチル政権で首相に返り咲く、その矢先に親友であるジョージ6世が逝去する。

 

 彼は親友の長女、年若い英国女王に全力で使えることを決心する。

 

 孤軍奮闘するエリザベス2世に対して本音で意見を述べ、立憲君主としての振る舞いを導く。メンターとしてチャーチルは空手映画「ベスト・キッド」における師匠「ミヤギ」みたいで好きです。

 

 さて、1945年以降のイギリスはインドやエジプトなど大英帝国の植民地が独立し、英国は斜陽の時代に入る。

 

 さらにオイルショックとインフレなどで産業がガタガタになり、数年ごとに政権与党が「労働党」と「保守党」に入れ替わり、政策が右と左に大きく振り子が揺れる。

 

 例えば、労働党政権により基幹産業が国営化されたかと思えば、次の保守党政権では民営化されるなど、社会基盤が無茶苦茶にブレまくる。

 

 産業の空洞化→国民生活の貧窮→社会福祉政策拡大による労働意欲の低下→分断と社会不安、いわゆる『英国病』にイギリス社会経済が悩まされる。

 

 

 

 そんな英国の斜陽の時代に、王室スキャンダルが連発され、王室不要論が出始める。

 

 そんな困難な時代に、立憲君主であるエリザベス女王がどのように国民と関わり、治世を行ってきたかを、本作は、まるでドキュメンタリーのように撮られています。

 

 先月から始まったシーズン4は、鉄の女サッチャー首相、ダイアナ王妃、IRA(アイルランド共和軍)など歴史的な登場人物が参入し、さらに面白さがパワーアップしています。

 

 続きは、ネットフリックスで是非にご覧ください。

 

  それでは、また来週まで。

  おやすみなさい。