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2020.06.23

<映画:居酒屋兆治 #居酒屋放浪記 #高倉健 #時代おくれの酒場>

タイトルが入ります

前回ブログから自己紹介が遅れました、ORDINARY FITSのニット生産を担当しているツノムラです。BOTTLESのメンバーとよくお酒を飲みに行くのですが、もっぱら僕は居酒屋とか立ち飲みが好きで、お店選びはいつも真剣勝負です。

 

グルメ情報サイトには頼らず、道場破りさながら店先の斜め脇に直立し、全神経を集中して店先の暖簾の円熟加減、お薦めメニューの字体フォント、玄関扉の開け閉めのしつらえを下見します。扉の隙間から季節の花が瑞々しく生けられた一輪挿しが見えたり、ご主人の奥様やご子息らしきスタッフが一緒に働く家族経営的ウォーム感が垣間見られると、お邪魔する前から100点満点であると確信できる。

しかし、たとえ自分がイメージしていたお酒と食事の構成が違っても、居酒屋放浪の流儀として、席に着くなりオススメの3皿と駆けつけ3杯はしっかりと味合わなければならない。納得がいかなければ、潔く次の酒場をハシゴする。肥満と痛風を恐れてはいけない。

 映画に出てくる毎週通いたくなる居酒屋があります。高倉健が営む「居酒屋 兆治」のモツ焼きは、安くて美味くて、5坪ほどの小さなお店のコの字型のカウンターには常連客で賑わう。函館の小さな港町で皆が顔見知りで誰かの噂話を酒のアテに盛り上がる。小松政夫と田中邦衛の軽妙な掛け合いが店内の笑いをどっと沸かす。すると酒癖の悪い伊丹十三がからんで、もめごとを起こす。女将さんの加藤登紀子と常連のちあきなおみが喧嘩を仲裁して、高倉健が警察に謝って無事を得る。笑いと揉め事が日常として繰り返される面白く難儀な居酒屋ですが、高倉健の不器用と時代おくれの男感が満載で実在すれば是非に行きたくなる居酒屋です。

劇中、北海道の大自然で釣りとキャンプを楽しむ高倉健の演技が本当に自由で引き込まれる。幼馴染の田中邦衛と2人で焚き火を囲んで缶ビールを片手に「よく食った、よく飲んだ、よく寝るぞっ!!」とおどけるシーンを見るたびに、誰かとキャンプに行きたくなる。

1983年公開の「居酒屋兆治」は、原作が酒場コラム第一人者の山口瞳先生で、監督が降旗康夫、主演:高倉健、撮影:木村大作のゴールデン・タッグの作品です。切なくほろ苦くて、暖かくて、熱燗かお湯割り焼酎を飲みたくなる映画です。