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2020.07.21

<Mo’ Better Blue (モ‘・ベター・ブルース)    #JAZ映画 #スパイク・リー監督 #ダ・カーポ的映画  #至上の愛>

タイトルが入ります

“No Music, No Life. “ ツノムラです。

 今日は火曜日ですけど、歌謡曲ではなく、ジャズの映画噺です。

 

 唐突ですが、楽譜記号のD.C.(ダ・カーポ)は、その小節終わりから先頭に戻る意味。起点と終点が同じで、一筆で円を描くみたいに最初に戻る、いわゆるダ・カーポ的な物語が好きです。

 出だしの2小節を印象的なメロディーでクサビを打って、サビで盛り上げて、振り出しと同じメロディーで最後を締めるパンチラインみたいな。例えば、三代目 古今亭志ん朝師匠の『芝浜』における最後のサゲ、一瞬の振り出し戻り芸「トタン落ち」、ぺこぱの「時を戻そう」みたいなリバーズ、そんな快楽の落ち噺がたまらないのです。

 

 

 今回は、そんなダ・カーポ的な音楽映画「モ‘・ベター・ブルース」を紹介します(できる限りネタバレ無しで進めます)。

 舞台は1980年代のニューヨークのジャズシーン。デンゼル・ワシントン演じるブリーク・ギリアムは、ジャズ・クインテットを率いる天才トランペッター。音楽に全てを捧げ、口癖は“Practice・Practice・Practice!! <稽古・けい子・稽古‼> …(貴乃花親方か?)”。

 彼らのギグは超一流で、ジャズクラブはいつも大入り満員。しかし、楽屋は険悪なムードで、バンド解散の一歩手前。どうやら、原因はバンド・マネジャーでブリークの幼馴染の「ジャイアント(スパイク・リー)」にあるらしい。

 ジャイアントは、その場しのぎのC調男で、彼の疫病神っぷりが物語を悪い方向に運ぶ。注目は、その役を演じるスパイク・リーは、この映画の脚本・監督であり、演者として物語の行き先を巧みにディレクションしている。

 

 

 5人のジャズマンが揃いのイタリアントラッドのスーツを纏い、息がピッタリ合った演奏映像は「ボヘミアン・ラプソディ」とどっこい勝負。デンゼル・ワシントンの他にサックスのウェズリー・スナイプス(ブレイド)、鍵盤のジャンカルロ・エスポジート(ブレイキング・バッド)、ベースのビル・ナン(ドゥ・ザ・ライト・シング)のソロパートが秀逸でぜひ見て欲しい。そして、恋人役のシンダ・ウィリアムズが歌う「ハーレム・ブルース」はアラフィフ世代には馴染みがあるメロディー。UAさんがカバーしていたことで有名です。

 

 

 1990年公開の『モ‘・ベター・ブルース』は監督・脚本がスパイク・リーで、音楽が実父のビル・リー、助演女優が妹のジョイ・リーのLee家ロイヤルファミリーの渾身の一本。

 

 

 公開当時、デンゼル・ワシントンとジョイ・リーのリアルなラブシーンが話題となり、当時に男子高校生であった僕たちチェリーボーイズは、嬉し恥ずかしで「テアトル・梅田」に並んだ記憶があります。

 あれから30年、愛について少しは学んだ。恋愛偏差値は相変わらず低いです。

 ジョン・コルトレーンの「至上の愛(A Love Supreme)」とセットでこの映画をご覧いただければ “モア・ベター、よ。” …<小森のおばちゃま/80年代:片岡鶴太郎モノマネより引用>。