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2021.02.02

<netflix:さらば!2020年>

タイトルが入ります

 

 こんばんは。

 No Cinema, No Life.

 火曜日担当のツノムラです。

 

なんとも得もいえぬ2020年が終わり、新しい年の節分がやって来ました。

 

それが124年ぶりに2月2日だそうです。

 

確かに、地球は自転しながら太陽の周りをざっくりと楕円形の軌跡で公転している。

 

それも、365日と5時間と48分と46秒をかけて。

 

「中~っ途半端やなぁ!」

 

 

 

 オリンピック・イヤーの閏年でも帳尻合わせがつかずに、124年分の微小誤差(6時間分に足らずの11分と少々)を2020年で埋め合わせて、いつもよりも1日早い2月2日が今年の節分。

 

 

 ユリウス暦からグレゴリオ暦へ、カエサルからコペルニクスの地動説にバトンタッチしてから約440年。

 

 

 天動説を信じ、世界は亀の甲羅の上の平たいお盆の上に成り立っていると信じている『地球平面論者』にとって、2020年は因縁の年である。

 

 

 さて本日は、その因縁の2020年を総括したネットフリックスのモック&ドキュメンタリ『さらば!2020年(原題:DEATH TO 2020、2021年公開)』をご案内します。

 

 英国のSFブラックユーモア・ドラマ「ブラック・ミラー」の制作陣が手掛けた新しいジャンル『モック(偽の、冗談の)』と『ドキュメンタリー(実録)』が融合した『モックメンタリー』のジャンルにおいて、今年最高の作品。

 

 

 皮肉たっぷりで後味が良い。

 

 

 嘘話をあたかも実録のように演出する『mockumentary』のジャンルは、古くはオーソン・ウェルズの「宇宙戦争」、僕ら世代には「ブレアウィッチ・プロジェクト」で馴染みがあります。

 

 

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Conspiracy(陰謀論)がトレンドワードの昨今。

 

“コペルニクスの地動説は陰謀だ”

“我々の世界は亀の甲羅の上の平たいお盆の上に存在する”

“気候変動、北極の氷山が溶けるなんてコンピュータグラフィック映像のでっち上げだ”

 

 

そんなのデマゴーグは序の口で、世界では最もらしい陰謀論が飛び交っている。

 

 

どこかで誰かが真面目ぶって「嘘」をつぶやいて、世間はそれをいとも簡単に信じている。既存メディアですら、それがどこまでが冗談で本気かの境界線が分からなくなっている。

 

 

本作は、8人のスピーカーが2020年に世界で起きた出来事を時系列で追いながら、ポジション・トーク満載で、嫌な感じでほじくり返し、解説している。

 

 

 

 

「2020年とはいったい何だったのか?」

報道番組のように製作者が有識者にインタビューしている。

 

 

それも、「映え」そうなインタビュー部分だけを切り取り、意地悪な視点で皮肉たっぷりに、編集している。

 

 

 しかし、困ったことに、それぞれの意見は偏っているが、各人のポジション・トークに引き寄せられて、僕たち観客は虚と実の境界線を見失いそうになる。

 

 

 

 

 インタビューを受ける8人のスピーカーは、「風見鶏の保守系政治家」、「リベラルなIT億万長者」、「あまり深く考えない平均的な市民」、「柔軟性がないウィルス科学者」、「反権力の心理学者」、「ただ単にバカな歴史学者」、「なんとも言えない国王」、「反知性主義のイノセントを装う主婦」と全員の個性が強い。

 

 

8人の誰かが、割と自分に近い意見で、僕の意見を代弁しているかのように思える。

 

 

 そして、彼、彼女たちは、「Covit-19に対する為政者の不遜」、「2020アメリカ大統領選挙の結末」、「ブラックライブス・マターの混乱」、「地球の気候変動の行方」になどについて語る。

 

 

 自分の立場を最大限に肯定するポジション・トークであり、他者に対する配慮がない。日本のメディアも、世界もどこも似たものだと、何故か安堵する。劇中で歴史学者が大袈裟に嘘ぶくシーンが好きです。

 

 

 

 

「人類は思考停止し、一瞬で琥珀の中に閉じ込められた」

「地球は自転を諦め、世界は静寂を取り戻す」

「我々の周りには誰一人まともな人間はいなくなった」

 

 

2020年を振り返り、半分は冗談(モック)で半分は実録(ドキュメンタリー)のような映画でした。

 

 

それでは、また来週まで。

おやすみなさい。