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2020.11.10

<映画:南極料理人>  #沖田修一監督 #堺雅人主演 #究極の単身赴任 #極寒僻地のグルメ

タイトルが入ります

 

 こんばんは。

 No Cinema, No Life.

 火曜日担当のツノムラです。

 

 唐突ですが、コロナ禍以降、キャンプ熱がとても高まっていますね。

 

 とりわけ、最近は、女性の間でキャンプでの野外料理が人気ですね。アウトドアの調理器具や雑貨が店頭で品薄で、ネット注文でも入荷時期未定が多く見受けられます。

 

 僕は、トレッキングを趣味としていて、山中での調理火力はプリムス社製の「シングルバーナー・スパイダーストーブ」を使用しています。

 できる限り担ぐ荷物を軽くしたいので、290gの軽量具合(IP−110ガス缶を含めて390g)が魅力的で、2400kcalの強力な出力パワーは、雪山でも大活躍です。

 

 重心が低いので、上に乗せるコッヘル鍋が転倒しにくく、鈍臭い僕でも扱い易いです。

 

 

 

 BOTTLES BLOGでは、日曜日担当のコウヘイがキャンプの達人で、僕も彼が綴る野外活動とそのぐるりの音楽解説を楽しみにしています。

 

 先々週の「キャンプと薪ストーブ」編を読んで、それがカッコよくて、影響を受けました。

 そこで、トレッキング携帯用の折りたたみ式の「ポケット・ストーブ」のミディアム・サイズを買いました。

 

 大阪梅田にある登山用具の老舗専門店「ロッジ」でラスト1個を購入するこができて嬉しい。大事に使います。

 

 

 

 このコンパクトなストーブは、シェラカップでお茶を沸かしたり、メスティン飯ごうで炊飯したり、簡易タイプですが何かと応用が利きそうです。

 

 エスビットの27g固形燃料だと、火力は中火くらいで12分間の燃焼時間がキープできる。価格は税抜きで2,000円とお値ごろ。

 横風が強ければ、火が消えやすいので、僕は自家製の風除けフードを作りました。

 

 燃料含みで180gと軽く、携帯に便利で、日帰り程度の山歩きであれば、山メシに活用できます。

 

 僕の場合、テント泊での夕食はあらかじめカットした野菜と鳥モモ肉を凍らせて、ジップロックに詰めて、現場の深鍋で温め直す。

 最後に“まつや”の「とり野菜みそ」を入れて、チューブ入り生姜をたっぷり入れて、冷えた体を温める。

 

 

 とり鍋の〆は、マルタイの棒ラーメン。面倒なのでこれを腹一杯食べて、あとは就寝。

 山中でのテント泊は、水の確保が一番の気掛かりですので、喉が乾かないように、酒はできる限り控えます。

 

 

 さて、前置きが長くなりました。

 本日の映画をご案内します。

 

 幸せなご飯の映画です。

 2009年公開、沖田修一監督、堺雅人主演の『南極料理人』です。

 

 8人の中年おじさんたちがひたすらご飯を食べて、はしゃぐ。

 事件は何も起こらない。

 映画を観ているこちらは、ひたすらに腹が減る。

 空腹テロ映画のジャンルです(すいません、僕が勝手に考えた。そんなジャンルはない。)。

 

 

 舞台は1997年の南極観測基地「ドームふじ」。

 第38次南極観測隊のメンバーとして8人の科学者が派遣される。

 

 彼らは、約450日間の単身赴任を余儀無くされる。

 

 南極沿岸の昭和基地から1600km離れた、標高3800mの内陸の山岳基地。

 年間平均気温はマイナス54度、ウィルスすら生存できない極寒地。

 

 隊員の朝の日課は雪を掘り、溶かし、生活用の製水を確保すること。

 

 それと、運動不足のために、ラジオ体操を第1から第3体操まで、たっぷりと体を動かす。男ばかり8人の生活。レオタード姿の体操のお姉さんまでもがエロく感じ取られる。

 

 調査研究活動とはいえ、退屈極まりない毎日。

 太陽が沈まない「白夜」と夜が明けない真っ暗闇の「極夜」に閉ざされる生活。

 規則正しい三度の食事がなければ、日付の感覚を忘れてしまう。

 

 

 だから、隊員の唯一の楽しみは三度の食事。

 今日の昼食、明日の朝食、来月の節分の夕食、一日中を食べる事ばかり考えている。

 

 南極基地に備蓄される食料は冷凍食品(野菜、魚介と肉)と乾燥食品(パスタと米)のみで、新鮮な野菜、果物、乳製品などあるはずもない。

 

 山岳地帯で気圧が低く、水は摂氏85度で沸騰するが、食材は煮え切らずに、麺の芯が残る。隊員の栄養管理を満たす献立づくりと調理の腕が求められる。

 

 

 

 調理人は、海上保安庁から派遣された主計士:西村淳(堺雅人)。反抗期の娘を持つ優しくて、少し頼りなさげのお父さん。

 西村の南極単身赴任の元へ、妻のみゆき(西田尚美)は、子供達の成長の記録を壁新聞風にして、FAXを送る。家族愛に泣けます。

 

 さて、調理人の西村は、年間一人分の食料約1000kgの備蓄食材から、450日×朝夕三食×8人分の1万8百食分の料理を一人で頑張る(隊員は、メニューの文句ばかり、誰一人も手伝わないのが腹立たしい)。

 

 冷凍伊勢海老のエビフライ、限られた具材のオリジナル・ラーメン、地面にぶちまけたイチゴシロップのかき氷(南極なので氷には不自由しない)、バタークリームの誕生日ケーキ、できれば食べたくないけど、南極ではご馳走なんだろうな思う食事の数々。

 

 

 

 

 午前中の隊員の日課は、南極雪原で気象観察や地層ボーリング調査などの作業。

 昼食が出来上がった事を伝えるために、スピーカーで大音量のワグナー「ワルキューレの騎行」を昼食の号令として放送する(「地獄の目次録」の戦闘開始シーンと同じ)。

 

 

 「本日の昼食は、鮭、明太子、イクラの3色おにぎりと豚汁です!」

自転車に乗って、西村は本日のメニューを隊員に伝達する。

 

 8人おじさんたちは、一目散に食堂に走る。

 雪原をダッシュで走っては転ぶ。起き上がって、頑張って走る。

 愛おしくて涙が出る。

 

 食堂では、黙って、ひたすらにおむすびを頬張る。

 メガネを曇らせて豚汁をガッつく。

 

 

 両手で握り飯を口に運ぶ、無言で大きく頭をうなづく。

 またもや、僕はその光景が愛おしくて涙が出てくる。

 

 日本男児は、黙って『米』である。

 我々は、「お米の国」のひとなのである。

 

 しかし、食堂の席は一人が空席のままだ。

 御子柴主任(メカニック担当)がいない。

 この至福の昼食メニューを見逃すはずがない。

 

 彼は雪上自動車を占拠し、南極基地から単身で脱走を企てようとしている。

 「俺は日本へ帰りたいんや!」

 「自動車メーカーから南極基地単身赴任なんて、完全に左遷やんか!」

 ホームシックのおじさんは、投げやりに独り言ちる。

 

 様子を見に来た料理人の西村は彼を諭す。

 「南極だよ。島だよ。逃げられないよ。死ぬよ。」

 「美味しい昼飯ができたよ。一緒に戻って食べよう」

 

 またまた、僕は少年時代を思い出して、泣けてくる。

 

 放課後、日が暮れるまで公園で三角ベースボール。

 「6時には家に帰っておいで」と祖母が迎えにくる。

 美味しい夕食が待っている。

 路地裏からカレーの香りがする。

 赤い夕日を背に、駆け足で家路に急ぐ。

 

 『食べることの大事』がたくさん詰まった映画です。

 

 アマゾン・プライムの動画配信により鑑賞できます。

 ほっこりとしていて、どなたにもオススメです。

 

 それでは、また来週まで。

 おやすみなさい。